異次元金融緩和後に企業利益は減少した

法人企業統計は、日本経済が陥りつつある困難な状況をヽ明確に示している。

売り上げがあまり伸びず、設備投資も伸びない。それだけでなく、企業利益も減少し始めたのである。2013年7~9月期の季節調整済み経常利益の対前期比増加率は、全産業では▲1.6%、製造業では▲5.2%となった。
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金利差が説明しない為替レートの変化

今年の春以降ほぼ膠着状態にあった株価に、11月中旬以降動意が見られる。これは円安が進んでいるからだ。以下では、為替レートを変動させるメカニズムについて考えたい。

これまで、為替レートは、内外金利差で説明されることが多かった。特に、2年国債利回りと為替レートの相関が高いと言われていた。実際、リーマンショック以前に進展した円安は、日米金利差の拡大によってほぼ完全に説明できる。また、2007年ごろからの急激な円高も、日米金利差の縮小によって説明できる。
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空回りを続けている異次元金融緩和措置

マネーストックの対前年増加率は、10月にはM3で見て3.3%となった。これは、貨幣残高の定義がマネーストックに切り替えられて以来、最大の伸び率である。

これを見て、「異次元金融緩和の効果が出てきた」との印象を持った人が多いだろう。しかし、その印象は、統計の数字の示し方によって生じる一種の錯覚にすぎない。実際には、マネーストック残高は、今年の6月以降ほとんど増加しておらず、金融緩和政策は「空回り」を続けているのである。この間の事情を以下に説明しよう。

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物価が上昇したため実質成長率が下がった

2013年7~9月期のGDP(国内総生産)速報値の内容で最も重要なのは、実質消費の伸びが、物価上昇のために鈍化したことだ。これは、デフレ脱却を経済政策の目標に置く政府・日本銀行の考えが、基本的に誤っていることを意味している。そして、円安に起因する物価上昇を、早急に抑える必要があることを示している。

GDPの最大の需要項目である民間最終消費支出は、リーマンショック後の日本の実質GDPの成長を支えてきた。今年に入ってからの実質の対前期比は、―~3月期には0.8%(寄与度は0.5%)、4~6月期には0.6%(同0.4%)であった(季節調整済み。以下同)。

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賃上げは最重要の課題 問題はそのための政策

エコノミストはシャロックー・ホームズが好きだ。中でも『銀星号事件』はしばしば引用される。

ホームズは、「事件のあった夜に犬が啼かなかったのが不思議なことだ」と言う。侵入者があれば、犬は激しく啼くはずだ。啼かなかったのは、侵入者が犬の顔見知りであったことを意味する。「何かあるか」でなく、「何がないか」が重要だ。

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従来より強まった円安の物価上昇効果

消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の対前年比は、今年の5月からプラスの値が続いているが、9月も0.7%の上昇となった。これは、経済の好循環が始まったことの表れと評価されている。以下では、このような評価が正当化されるかどうかを検討する。

今回の消費者物価上昇は、円安によってもたらされたものだ。円安になると、消費者物価が高まる傾向がある。その限りにおいて、ここ数ヵ月の消費者物価の上昇は、不思議ではない。ただし、今回は、従来とは異なる要素が含まれていることに注意が必要だ。

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円安にもかかわらず過去最大の貿易赤字

2013年度上半期の貿易収支は4兆9892億円の赤字となり、年度半期ベースで過去最大を更新した。9月の貿易赤字は、1兆円に近づいた。このペースが続けば、年間10兆円を超す赤字となる。

リーマンショック前には、日本の貿易収支は、年間10兆円ないしはそれ以上の黒字だった。それがほぼ同額の赤字に転じたわけだ。このことの意味は大きい。

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内部留保を使うには法人税の増税が必要

安倍晋三政権は、法人税を減税することで経済の好循環を始動させようとしている。法人税を減税すると、企業が内部留保を賃金や設備投資に用いる。それが経済の好循環をつくるというのである。

しかし、この方法では、賃金も設備投資も増えないことを前回述べた。以下では、このことをいま少し詳しく説明したい。

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賃金引き上げの方法は新産業を興すことだけ

安倍晋三首相は、消費税増税の表明と同時に、「経済政策バッケージ」を発表した。ここには、注目すべき点が二つある。

第1は、賃金が重要な問題だと認識されたことだ。政府はこれまで物価上昇率引き上げを政策目的としてきたが、円安で物価は上昇しているし、消費税が増税されればさらに上がる。しかしそれは、実質賃金を減らし、生活を貧しくするだけだ。賃金が上がらなければ、経済政策は成功したことにならない。この当然のことが、やっと認識された。

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