貿易赤字の定着は通念の変更を迫る

4月の貿易収支は、4637億円の赤字となった。昨年4月は7292億円の黒字だったので、1兆2000億円ほど赤字が拡大したことになる。この数字は、日本経済に大きな構造変化が生じていることをはっきりと示している。

4月の貿易収支が赤字となった主原因は、輸出の減少である。特に自動車の落ち込みが激しい。これは、言うまでもなく、東日本大震災で自動車生産のサプライチェーンが損壊して生産が減少したためだ。

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企業の海外移転は電気料金上昇で加速

東京電力福島第1原子力発電所事故の損害賠償の仕組みが決まった。

基本は、東電が無限の責任を負って賠償を行うということだ。ただし、賠償は巨額で支払いは長期間にわたるため、東電が債務超過に陥って破綻しないよう、特別法で設立される「機構」が、優先株を引き受ける。国は機構に対して公的資金を注入する。

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電力供給のリスクが海外移転を進める

中部電力浜岡発電所の全面停止が決まった。これによって、中部地方の電力事情は一挙に悪化した。これまでは、東日本に限定されると考えられていた電力不足は、より大きな広がりを持つ問題になった。現在停止中や定期点検中の原発の運転再開もどうなるかわからない。

他方、東京電力の供給見通しも大きく変動している。3月25日には、今夏の供給能力は4650万キロワット程度にとどまるとしていた。これに基づいて、夏の電力需要を25%カットする計画が政府によって考えられていた。ところが、4月15日には、7月末に5200万キロワット、8月末に5070万キロワット程度と修正した。4月20日に東京電力の藤本孝副社長は、夏の電力供給を最大5500万キロワット程度に引き上げると表明した。さらに5月13日には、8月末に5620万キロワットになるとした。わずかひと月足らずのあいだに1000万キロワットも変動するのでは、どの数字を信じてよいのか、途方に暮れる。

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対外資産取り崩しで復興資金を調達する

日本は巨額の対外資産を保有している。したがって、これを取り崩して復興資金に充てるという方法は、ごく自然で合理的なものだ。

日本の対外資産は、2009年末で554兆円ある。負債を差し引いた純資産では266兆円だ。他方、必要な復興投資は、16~25兆円程度だ。だから、復興資金のすべてを対外資産取り崩しで賄っても、純資産が1割程度減るだけだ。

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復興の基本方向は産業の東西再配置

大震災から早くも1カ月が過ぎた。被災地の状況はやっとがれきの除去が進んだ程度で、本格的な復興が始まったとはとても言えない。福島原発事故収束のメドも、まだ立っていない。

しかし、復興のおおまかな方向づけは、できるだけ早く明らかにする必要がある。民間企業が損壊した生産設備を元の場所に再建するか、それとも他に移転するかは、それによって大きな影響を受けるからだ。

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高まる不確実性と為替レートの大変動

大震災後、為替レートがきわめて大きく変動した。

直後に海外市場で急激な円高が進み、東京市場でも3月16日に78.1円になった。ところが、18日の介入を契機に円安に転じ、その後さらに円安が進んだ。4月6日には85円台となっている。これは、震災直前の水準より円安だ。中期的に見ても、2010年夏以来の円安である。

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負担反対は当然だがそれは破滅へ続く道

大震災からの復興に必要とされる政策は、国民に負担を強いるものだ。供給面に制約が生じているからである。この点が、数年前に生じた世界経済危機との本質的な違いだ。

世界経済危機で日本が受けた打撃は、「輸出の激減」という需要面のものであった。これに対して必要な経済政策は需要の喚起であり、それは(少なくとも直接的には)、誰にも損失を与えずに実行できる。日本では、エコカー支援などの需要喚起策が取られた。それは、特定の業界を救済したという公平の問題を含んでいたが、経済全体としての負担増にはならなかった(本当は、社会資本整備のための公共事業を増やすべきだった。私は、「戦後初めてケインズ政策が必要な事態が生じた」と考えて、公共事業拡大を主張した。拙著『未曾有の経済危機克服の処方箋』第6章を参照)。

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増税も円高も拒否なら消費者が負担を負う

今回の大震災の復興と経済対応について、「復興投資が必要、円高を防ぐべし、増税すべきでない、消費を減らすべきではない」等々、さまざまな主張がなされている。

これらの1つひとつを個別的に取れば、もっともなものである。しかし、経済全体としての需要と供給は等しくなければならないので、これらすべてを満たすことはできない。

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深刻な電力不足が経済活動を制約する

東北関東大震災によって、東日本で深刻な電力不足が発生している。

東京電力のプレスリリースによると、3月12~14日の期間で、同社の供給能力は3100万~3700万キロワットであり、ピーク時(18~19時)の想定需要量は3700万~4100万キロワットだ。つまり、供給能力は、ピーク時想定需要量を下回るか、あるいはぎりぎりの水準である。このため、計画停電が行なわれている。

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