短期的期待でなく長期的期待が重要

世界の株式市場が大きく変動している。日本の株価も乱高下している。

株価の今後の推移には、まだはっきりしないところがある。しかし、株価の上昇が基本的に円安だけに支えられたものであり、実体経済での革新に支えられたものではなかったことは明らかだ。生産性の高い新しい産業が生まれたために株価が上昇したのではないのである。その意味では、典型的なバブルだった。
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輸出立国に執着せず所得収支に目を向けよ

2013年の貿易収支は11兆4803億円の赤字となり、年ベースで過去最大となった。貿易赤字が拡大した原因は、二つある。第1は、鉱物性燃料の輸入を中心として輸入が増えていること、第2は、円安が進行したにもかかわらず、輸出数量が伸びないことだ。いずれも一時的な要因ではなく、構造的な要因である。したがって、貿易赤字は、今後も継続するだろう。貿易立国、輸出立国の基盤はすでに崩壊していると考えざるを得ない。

ただし、注意すべきは、貿易赤字拡大のかなりの部分は、円安の効果であることだ。これは、(必ずしも正確な表現ではないが)「計算上のもの」「見かけ上のもの」と言える。それがどの程度かを示しておこう。
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住宅貸し出しで高まったマネーストック伸び

2013年4月の異次元金融緩和導入時点において、日本銀行はマネタリーベースの目標値は示したが、マネーストックの目標値は示さなかった。金融政策の効果はマネーストックがどの程度増えるかにかかっているのだから、これについての目標値がなかったのは不思議なことだ。

その半面で、消費者物価上昇率についての目標値は、「2年程度の期間において年率2%に引き上げる」という形で、具体的に示した。しかし、消費者物価は、為替レートによって強く影響される。そして、為替レートは主として海外の事情によって動く。したがって、国内金融政策の影響を取り出すことは困難だ。
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マイナスもあり得る2014年度の成長率

2014年度の実質経済成長率は、マイナスになる可能性が高い。その理由は、GDP統計が示すデータに見いだせる。13年7~9月期の実質GDP成長率(季節調整済み年率。以下同)は1.1%だったが、公的固定資本形成(公共投資)の寄与度が1.2%あった。つまり、経済成長は公共投資に支えられたものだったのだ。実際、公共投資の成長率は、4~6月期から引き続いて30%近い異常な高さであった。仮にこれがなくなれば、7~9月期において経済はマイナス成長に落ち込んでいたはずなのである。

ところが、14年度における公共投資は、前年度比マイナスになる。その理由は、政府の経済見通しにおいて、公需寄与度が0.2%という非常に低い値に想定されていることだ。公需とは政府最終消費支出と公的固定資本形成である。前者は後者の5倍程度のウエイトがあり、伸び率は0.5%程度である。したがって、公需全体の寄与度が0.2%になるためには、実質公共投資の伸び率はマイナスにならなければならない。計算をしてみると、年率で▲5.5%になる必要がある。

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