賃上げは最重要の課題 問題はそのための政策

エコノミストはシャロックー・ホームズが好きだ。中でも『銀星号事件』はしばしば引用される。

ホームズは、「事件のあった夜に犬が啼かなかったのが不思議なことだ」と言う。侵入者があれば、犬は激しく啼くはずだ。啼かなかったのは、侵入者が犬の顔見知りであったことを意味する。「何かあるか」でなく、「何がないか」が重要だ。

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従来より強まった円安の物価上昇効果

消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の対前年比は、今年の5月からプラスの値が続いているが、9月も0.7%の上昇となった。これは、経済の好循環が始まったことの表れと評価されている。以下では、このような評価が正当化されるかどうかを検討する。

今回の消費者物価上昇は、円安によってもたらされたものだ。円安になると、消費者物価が高まる傾向がある。その限りにおいて、ここ数ヵ月の消費者物価の上昇は、不思議ではない。ただし、今回は、従来とは異なる要素が含まれていることに注意が必要だ。

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円安にもかかわらず過去最大の貿易赤字

2013年度上半期の貿易収支は4兆9892億円の赤字となり、年度半期ベースで過去最大を更新した。9月の貿易赤字は、1兆円に近づいた。このペースが続けば、年間10兆円を超す赤字となる。

リーマンショック前には、日本の貿易収支は、年間10兆円ないしはそれ以上の黒字だった。それがほぼ同額の赤字に転じたわけだ。このことの意味は大きい。

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内部留保を使うには法人税の増税が必要

安倍晋三政権は、法人税を減税することで経済の好循環を始動させようとしている。法人税を減税すると、企業が内部留保を賃金や設備投資に用いる。それが経済の好循環をつくるというのである。

しかし、この方法では、賃金も設備投資も増えないことを前回述べた。以下では、このことをいま少し詳しく説明したい。

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