円安・株高は海外投機家に利益を与えただけ

株価や為替レートが激しく乱高下している。株式市場における株価変動の度合いは、「ボラティリティ」という指標で表される。

東京証券取引所が計算する東証株価指数のボラティリティは、2012年末ごろまでは10%台だったが、13年1月末からは20%程度になり、さらに5月23日の週以降は40%程度にジャンプしている。ここで計算されているボラティリティは、東証株価指数の20日分の騰落率から算出したヒストリカルボラティリティである。ボラティリティとは、株価変化の標準偏差(分散の平方根)のことだ。極めて大ざっぱに言えば、最近の株価の変動幅は、12年末ごろに比べて4倍に拡大したと考えることができるわけだ。

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虚のアベノミクスは実に転換できるか?

安倍晋三内閣の経済政策の本質は資産価格のバブルを利用して、経済活動が好転しているような錯覚を人々に与えることだ。実体経済の構造を改革しようとするものではない。「期待」が強調されるのは、そのためだ。

現代世界では、実需に基づかない資金の国際間移動が自由化されているので、バブルは国境を越えて次から次へと伝播する。いわば、世界中にガソリンがまかれていて、マッチを擦ればたちどころに火が燃え上がる状態になっている。

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円安で利益増加は賃金が下がるから

2013年3月期の上場企業の利益は前期に比べて増加した。

しかし、これは、生産性の向上や新しい事業の開始など、企業活動の実態が変わったことによるのではない。増益の大きな理由は二つある。第1は、11年度の企業利益が東日本大震災などの影響で大きく落ち込んだことだ。12年度の増益は、それからの回復の結果に他ならない。第2の理由は、円安である。ここでは、後者の問題について考えよう。

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トヨタ増益の主因は円安でなくエコカー

トヨタ自動車の2013年3月期の連結決算で、営業利益が前期比3.7倍の1兆3208億円となった。「これは円安のためである」と解説している報道が多い。しかし、円安は営業利益増加の主因ではない。

これは、トヨタ自身が述べていることである。すなわち、同社決算短信の中で、営業利益増加額9652億円のうち、「為替変動の影響による利益増」は、1500億円(増益総額の15.5%)でしかないとしている。大きな要因として挙げられているのは、「営業面の努力」(6500億円の増)と「原価改善」(4500億円の増)だ。

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