実体経済から見れば株価は2割程度割高

株価が上昇を続けているが、実体経済面では厳しい状況が続いている。

最大の問題は、輸出数量が伸びないことだ。貿易統計によると、2月上中旬の輸出は、対前年比2.9%の減だ。2月中旬の為替レートは、この1年間に1ドル79.4円から93.4円にほぼ17.6%減価していることを考慮すると、輸出数量は、対前年比20%程度の減になっているはずである。1月には、輸出数量は5.9%の減、価格指数が13.1%の増で輸出額は6.4%の増になった。2月には、事態がそれより悪化しているわけだ。円安にもかかわらず、昨年秋以来の輸出の減に歯止めがかかっていないどころか、悪化している。

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実体経済は厳しいが株価だけが上昇する

2月上旬の輸出額は1兆6109億円で、昨年の1兆8626億円に比べて、実に13.5%の減となった。1月の輸出額は4兆7985億円で、対前年比6.4%増となったのだが、再び減少したわけだ。なお2月上中旬では3兆4270億円となっている。

円安が進んでいるため、輸出の価格指数は上昇している。円ドルレートは、2012年2月初めの1ドル77.65円から13年3月初めの93.28円になっているから、仮にドル建て価格が一定なら、価格指数は20%程度の上昇になっているはずだ。したがって、輸出額が13.5%も落ち込んだのは、数量指数が30%以上落ち込んだことを意味する。これは、極めて深刻な事態である(実際には、ドル建て価格も下落しているのかもしれない。それでも、深刻な事態であることに変わりはない)。

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大震災後、円安は収益悪化要因に

円安は、素材型産業の収益を悪化させる。前回は、このことを個別企業について見た。この結論は、マクロ的にも確かめることができる。以下では、素材型産業の輸出額と、その産業が原料等で輸入している額の比較を行うことによって、円安の収益悪化効果を示すこととしよう。

まず、輸出を機械(一般機械、電気機械、輸送機械)とそれ以外(鉄鋼などの原材料製品、化学製品など)に分ける。ここで問題としたいのは、後者だ。これを以下では「素材型産業」と呼ぶことにする。この部門の輸出額は、2012年で24兆5093億円だ。

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円安で原料価格が上昇企業利益が減少する

前々回、「円安は、輸入原材料の円建て価格を引き上げるという点で、輸出産業の利益を圧迫する」と述べた。そして、輸出額に対する輸入額の比率は、日本全体で平均すると半分程度であるが、素材装置産業ではもっと大きいだろうと述べた。つまり、こうした産業では、円安が収益圧迫要因になっている可能性がある。以下では、そのことを、個別企業について具体的に検証してみよう。まず、住友化学を取り上げる。同社は、日本経済団体連合会会長・米倉弘昌氏の出身企業であるが、そのために取り上げるのではない。日本の大企業を代表する存在であるからだ。

2月1日に発表された「平成25年3月期 第3四半期連結決算概要」によれば、同社の2013年3月期の予想営業利益は、500億円である。これは、12年3月期の607億円に比べて107億円の減少だ。原因は、売上高が221億円(率では1.1%)増加したにもかかわらず、売上原価が498億円(3.5%)増加したからだ(なお、売上原価は、4月1日から12月31日までの数字が公表されているので、そこにおける売上原価と売上高の比率が、通年の比率と同じであるものとして計算した)。

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円安下で激減する12年の製造業利益

「円安が日本企業の利益を増加させ、このため株価が上昇している」と報道されている。しかし、この説明は誤りである。前回、このように述べた。

自動車産業利益増の原因は、第1には2011年に東日本大震災で生産が大きく落ち込んだことからの回復であり、第2には12年4~9月のエコカー支援策によって売り上げが増加したことだ。円安が進んだ12年秋以降には、輸出、生産、売上高は落ち込んでいる。13年1~3月期の見通しについても、円安による売り上げ増大効果は認められない。前回は、このことを輸出や生産指数の動向を見て結論付けた。以下では、直接に利益の推移を見ることによって、同じ結論を導出しよう。

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