公的年金積立金は550兆円も不足

厚生年金を清算して解散することは可能だろうか?これに関するデータは、厚生労働省年金局数理課「平成21年財政検証結果レポート国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」(詳細版)2010年3月にある。

それによると、厚生年金の場合、「過去期間に係る給付」が830兆円だ。これは、これまでの保険料負担に対応する給付だ。つまり、いま年金を受給しているか将来年金を受給できる人が、将来にわたって得る年金のうち、すでに支払った保険料に対応する分の割引現在値だ。給付に対しては、国庫負担金が一般会計から支出される。その現在値が「過去期間に係る国庫負担」であり、これは190兆円だ。したがって、厚生年金が受け持つべき額は、830兆円-190兆円=640兆円になる。ところが、積立金額は140兆円だ。だから、500兆円不足している(前回述べたように、現在の積立金はさらに減少している)。

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巨額の積み立て不足を抱える厚生年金の惨状

日本の公的年金は、将来どうなるのだろうか? 高齢化の進展に対応して、将来とも給付を続けることができるか?

この問題に答えるため、政府は、少なくとも5年に1度は「財政の現況及び見通し(財政検証)」を作成し、公表することとされている。

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貿易赤字拡大をめぐるいくつかの誤った見方

財務省が10月22日に発表した貿易統計によると、2012年度上半期(4~9月)の貿易収支は、3兆2190億円の赤字となった。これは、11年度の上半期に比べて約9割の増加だ。半期ごとの金額では、過去最大だ。

この原因は、LNG価格の上昇によって輸入が増えたことと、輸出が減少したことである。日本の最大の輸出先である中国に対する9月の輸出は、対前年比14%減という大幅な減少となった。日本経済をめぐる環境に、大きな変化が生じていることは間違いない。

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革新力や競争力でなぜ小国が強いか

世界知的所有権機関(WIPO)が今年の7月に発表した世界141力国・地域の技術革新力に関する調査報告書によると、日本は25位だった。前年より5段階ランクが落ちた。1位はスイスで、スウェーデン、シンガポールがそれに続く(以上3国の順位は昨年と同じ)。香港が8位、アメリカが10位に入っている。韓国が21位、中国は34位だ。

「シンガポール、香港、韓国が日本より上」というのは、前回述べたTHEの工学部ランキングと同じ結果である。

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