復興論に必要なのは財政論でなく経済論

国債の負担や対外資産の活用などの議論が混乱する原因は、政府にとっての問題と日本全体の立場から見ての問題とが明確に区別されず、混同されることになる。以下に述べるように、「どのような手段で財源調達すれば、負担は将来に先送りされるのか?」「どのような手段で財源調達すれば、使用できる資源総量が増えるのか?」という問題に対する答えは、政府の立場から見る場合と、日本全体の立場から見る場合では、異なるものとなるのである。

企業の財源調達であれば、その企業の立場だけを考えて行なえばよいだろう。しかし、国の場合には、政府の立場だけではなく、日本経済全体の立場を考慮した議論が求められる。

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外貨準備を復興財源否定論は合理的か?

対外資産を取り崩して復興財源として用いる場合、民間金融機関が保有している対外資産については、金融機関がポートフォリオを対外資産から国債に変更する必要がある。しかし、金利が上昇したとしても、金融機関がポートフォリオを変更しない可能性は否定できない。

その場合においても、外貨準備なら政府の意思で動かすことができる。そして、今回の復興資金について言えば、それだけで額的には十分だ。

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外貨準備取り崩しで復興資金を調達する

復興資金には対外資産を活用するのがよいと前回述べた。外貨準備も対外資産の一部なので、復興資金として使うことができる。これは究極の埋蔵金である。

2010年末の外貨準備は約89兆円ある。これほど巨額の外貨準備を保有し続けることがはたして必要なのだろうか?

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対外資産取り崩しが復興財源として最適

巨額の資産を持つ退職後の老夫婦を想像していただきたい。資産は、家を何軒も建てられるほどのものだ。しかも銀行預金なので、必要があればいつでも使えるとしよう。

ある日地震があり、住んでいた家がつぶれてしまった。再建のための資金をどう調達したらよいか? もちろん、銀行預金の一部を解約して使うべきだ。慌ててハローワークに飛び込んで慣れない低賃金の職を求め、その賃金で家を建て直そうなどとは、決して考えるべきではない。

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消費税の臨時増税は不公平で経済を攪乱

震災からの復興や社会保障のためにいかなる財源を選ぶかは、日本経済に大きな影響を与える重大問題だ。これらに関して、「復興構想会議」の第1次提言の骨子案と「税と社会保障の一体改革の集中検討会議」の改革原案が公表された。両報告以外にもさまざまな議論が行われている。しかし、多くの議論は、対象経費の経済的(または会計的)な性格を十分に考慮しておらず、その結果、不適切な財源を提案している。

復興経費と社会保障経費は、次の2点で対照的な性質を持っている。第1に、復興経費は1回限りの経費(一定期間に限定された経費)であるのに対して、社会保障経費は永続的な性格を持つ。第2に、復興経費は他の経費と切り離して独立に考えることができるのに対して、社会保障経費は他の経費と密接に関係しているため、財源全体の中でとらえる必要がある。

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