消費税増税では財政再建できない?

財政再建の主要な手段は、消費税の増税であると一般に考えられている。政治的に難しいことを別とすれば、現在の日本の税制で増税の可能性があるのが消費税だと考えられるためだ。確かに、ヨーロッパの付加価値税の税率が平均して20%程度であるのに対して、日本の消費税の税率は5%だから、まだ税率引上げの余地があるように思われる。

しかし、数パーセントの税率引上げならともかく、現在の日本の財政赤字を解消するには、税率を20%以上に引き上げる必要がある。そして、このような規模の税率引上げだと、さまざまな問題が発生する。消費税増税は政治的に難しいだけでなく、経済的にも問題があるのだ。

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語るに落ちている「増税で経済成長」論

「増税で経済成長を測ろう」という奇妙な考えが主張されている。これを聞いた人は誰も、普通は「減税で経済成長」と言われていることを思い出して、「鏡の国」に迷い込んだアリスのような気持ちになったことだろう。

経済理論的にまったく正当化できないこの考えを、まじめに論じる必要は本来はない。しかし、この議論は、日本財政の現実について、重要な問題を暴露している。それは、本稿の最後に述べるように、「歳出を合理化する意図が政府にない」ということだ。これは放置することができない問題であるため、ここで取り上げよう。この点を論じる前に、関連する事項をいくつか見ておく。

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資産大国日本に足りないのは知恵

2009年の経常収支は、13兆2867億円の黒字になった。内訳を見ると、貿易収支黒字が4兆0381億円で、所得収支黒字が12兆3254億円だ(サービス収支が1兆9132億円の赤字、経常移転収支が1兆1635億円の赤字)。つまり、経常収支の黒字のほとんどは、所得収支の黒字によってもたらされた。

所得収支の黒字のほうが貿易黒字より大きい状態は、今始まったものではない。じつは、05年からこの状態が継続している。経済危機で貿易黒字が落ち込んだので、両者の差がますます顕著になったのである。

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