増税での赤字削減は経済を悪化させるか

国債と税では、マクロ経済に与える影響は違うのだろうか?

一般には、「違う」とされている。なぜなら、税を財源にすると、国債を財源にする場合に比べて、人びとの可処分所得は少なくなっているからだ。だから、消費支出は少なくなり、有効需要は縮小しているだろう。

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納税の痛みこそ政治と財政の原点

私は昨年秋に税務調査を受けた。確定申告書のチェックを受けるのはこの40年間で3回目か4回目の経験だが、今回はきわめて詳細なチェックを受けた。すべての支払い調書の控えと領収書、そして銀行預金通帳は最初に自主的に提出した。さらに、求めに応じて講演の詳細実施記録なども提出した。アメリカ滞在時の銀行取引も調査された。

最終的に、数万円の申告漏れがあった。これは、少額のため支払い調書がなく、しかも通常と別の通帳に入金されていたので、申告時の照合作業から漏れてしまったものだ。しかし、それ以外には何もなかった。私はこれまで完璧な確定申告を心がけてきた。今回の調査で修正申告がゼロでなかったのは残念だが、それに近い結果が得られた。

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新興国シフトは日本の自殺行為

「これからのマーケットは新興国。特に中国だ」という声が、さまざまなところで聞かれる。自動車についてもそうだ。中国での販売台数がアメリカを抜いて世界一になったことから、自動車会社の「中国シフト」が進んでいるようだ。

では、中国市場は、日本の自動車会社の収益を回復させる救世主になるのだろうか? 私は大いに疑問に思っているのだが、その理由を以下に述べよう。

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GDP統計が示すのは回復でなく停滞

先頃発表された2009年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は、年率換算で4.6%になった。この数字だけを取り出せば、日本経済がマイナス成長から抜け出し、順調な成長路線に乗ったように見える。しかし、実体はまったく逆なのである。

まず、アメリカと比較してみよう。アメリカの実質経済成長率(年率換算値)は、09年第3四半期に2.2%、第4四半期には5.7%である。実額では、第4四半期には14兆4634億ドルとなっている。これは、過去のピーク(08年第3四半期)14兆5467億ドルとほぼ同じ値だ。そして、07年の14兆0776億ドル、08年の14兆4414億ドルを上回っている。つまり、アメリカ経済は、09年第4四半期において、経済危機からの脱却を果たしたと見ることができる。

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