経済対策の効果を検証・評価する

2008年の秋以来の経済急減速に対応して、いくつかの緊急経済対策が取られた。それからほぼ1年がたったので、これらの効果を検証し、評価を行なうべきだろう。

金融政策では、量的緩和政策が取られた。これは、資金繰り倒産や取引障害などの、流動性不足から生じる諸問題を回避する効果はあったろう。しかし、需要を増大したり、物価を引上げたりする効果はなかった。現状では、貨幣に対する需要が無限大になってしまっているため、流動性の増加が経済活動を刺激する効果を持たないからである。つまり、ケインズが言う「流動性トラップ」に落ち込んでいるわけだ。

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為替レートをめぐる2つの重大な誤解

11月の下旬に、円高が進んだ。11月はじめに1ドル=90円程度だった円ドルレートは、11月27日には、84円台まで上昇した。円高は輸出産業の収益を悪化させるとして、介入の必要性が論じられた。12月1日には、日本銀行が量的緩和拡大に踏み切った。

新聞記事には、「1995年以来14年ぶりの円高」「円の独歩高」「景気底割れ回避のため、円高阻止を」などの言葉が踊った。あたかも国難が到来したかのような雰囲気である。

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変革と教育投資こそ日本を再活性化する

講演に出かけたりインタビューを受けたりすると、「元気の出る話をしてほしい」と言われる。私としても、そういう話をしたいのはやまやまだ。そこで、「新しいことを始めるには、いまが絶好のチャンス」と言うのだが、これが「元気の出る話」だと受け取られることは少ない。多くの人は、きょとんとしている。

「元気の出る話」として期待されているのは、こうしたことではないようだ。多くの人は、「まもなく株価が上がる。円安になって輸出産業の利益が増える。物価や地価が上がる」というようなことを期待している。つまり、人びとが求めているのは、「なにかいいものが空から降ってこないか」ということなのである。

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GDPは伸びたものの問題は解決されない

7~9月期の実質GDP(季節調整ずみ、速報値)が、前期比年率換算で4.8%の増加となり、2期連続でプラス成長になった。

これに関する新聞等の論調は、「成長は政策でかさ上げされたものであり、政策がいずれは終了することを考えると、将来も成長が続く可能性は低い」というものだった。後で述べるようにそれはそのとおりなのだが、将来を考える前にまず注意すべきは、水準自体が依然として低いままだという事実である。

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