危機後の世界経済の骨格が見えてきた

経済危機後の世界経済の構造が、ようやく見えてきたように思われる。

アメリカの貿易サービス収支赤字は、2009年3月に285億ドル、4月に292億ドルとなった。これは、ピーク時(07年の年間では約7000億ドル。月額では600億ドル弱)のほぼ半分の水準である。この水準は、たぶん新しい均衡値として継続するだろう。それが、世界経済の新しい骨格を決めることになる。具体的には、次のとおりだ。

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実質的な失業率は9%を超えている

6月30日に発表された5月の完全失業率(季節調節値)は5.2%となり、4月から0.2ポイント悪化した。また、5月の有効求人倍率(同)は0.44倍となり、4月から0.02ポイント低下して過去最低値となった。

失業率は遅行指数なので、今後さらに上昇するのは不可避である。では、どこまで上がるか?

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新興国期待論に疑問を呈する

これからの成長源泉を新興国に期待する意見が増えている。「先進国の早期回復は望めない。したがって、日本の輸出産業は、輸出先を中国やインドなど成長率の高い新興国に切り替えるべきであり、それによって再び輸出に依存した成長ができる」との考えだ。特に中国は、積極的な内需拡大策によって先進国に先駆けて回復しているので、今後の世界経済の牽引役になると言われる。

企業の経営者には、こうした展望を持つ人が多い。6月19日に発表された「通商白書」も、新興国の市場を開拓すべきだとしている。以下では、このような考えに疑問を呈したい。

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企業の利益回復には生産能力縮小が必要

今年の3月以降、株価の上昇が続いており、日経平均株価は6月12日に1万円を超えた。経済が底打ちし、今後は景気回復すると期待されるからだという。

このような期待は正当化できるだろうか? この連載で何度も述べているように、昨年10月以降の経済の急降下が終わったことは事実である。しかし、そのことと、近い将来の景気回復とは別だ。落ち込みのオーバーシュートが調整されることはあるにしても、今後の経済活動は、基本的には落ち込んだ水準で横ばいになるしかないと思われる。

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