金融立国の前に金融貧国からの脱却を

財務省が2009年3月9日に発表した1月の国際収支速報では、日本の経常収支は1728億円の赤字となった。経常収支が赤字になるのは、1996年1月以来、13年ぶりだ。

ただし、これをもって経常収支赤字が定着すると考えるのは、早計である。なぜなら、貿易収支は、毎年1月には悪化する傾向があるからだ。これまでも1月の貿易サービス収支が赤字になった年は多い。

続きを読む

銀行支援はレモン社会主義

アメリカの金融危機が新たな段階に入っている。シティグループとバンク・オブ・アメリカの国有化観測が浮上して、株価が急落した。ニューヨーク市場での株価下落を受けて、日経平均株価も下落している。

現在のところ、国有化は否定されており、政府が筆頭株主になった状態で不良債権処理が行なわれるようだ。しかし、成功するかどうかは明らかではなく、将来は大きな不確実性に包まれている。

続きを読む

政府紙幣や無利子債は天下の偽策

大規模な経済対策の財源として、政府紙幣や無利子国債の発行が提案されている。これらは、一般に「奇策」と受け止められてきたので、まともに議論する必要はないと考えていた。しかし、政治家のなかには、最近これらに興味を示す向きが出てきた。それを考えると、放置するのは危険かもしれない。そこで、これらが重大な問題を持つことを以下に指摘しよう。

政府紙幣の問題は、本質的である。特に、①政府紙幣は売りオペレーションの対象にできないため、将来の金融政策に重大な障害となること、②財政民主主義に背くため、憲法違反の疑いがあること、の2点が重要だ。

続きを読む

「アメリカ型資本主義」批判は空虚な議論

この1年ほど、日本の新聞、雑誌、出版物には、「アメリカ型資本主義がダメになった」という類いの論調が溢れた。「貪欲金融資本主義が破綻した」とか、「市場原理主義は人を豊かにしない」等々の議論である。

こうした論調が流行したのは、金融危機の進展を見て、「アメリカが失敗した」という認識が一般化したからだろう。「アメリカが世界をリードし、あくなき欲望をむき出しにして利益を追求したが、それがダメになった。だから、世界経済の中心はアメリカを離れ、新興国へ移ってゆく」という議論だ。

続きを読む