経済学者バリアンの驚くべきグーグル観

10月6日、ダウ平均株価は、ついに1万ドルの大台を割った。

これを見て、「アメリカはもう終わりだ」と思った人が多かったに違いない。「アメリカ式強欲資本主義の終焉」「アメリカ一極集中から多極化へと変貌する世界」などという記事が、これまでも新聞や雑誌に数多く現れたが、これからますます増えるだろう。

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誰がために鐘は鳴る? そは汝がために鳴る

8月の貿易収支は、26年ぶりに赤字になった。日本の貿易黒字が世界経済を撹乱しているとの議論が強まり、官民挙げて「黒字減らし」にやっきとなったときから20年程度しかたっていないことを思い出すと、不思議な感じがする。それより前の高度成長期、「国際収支の天井」を議論していた時代に戻ってしまった気さえする。

しかし、今そうした感慨にふけることは許されない。なぜなら、貿易収支の赤字化は、短期的にも長期的にも、日本経済にとって重要な意味を持っているからだ。短期的には世界経済危機との関係であるし、長期的には、日本の人口が高齢化することとの関係である。

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世界を激動させる巨額の資金移動

オイルマネーがEUを経由してアメリカに環流していると、前々回述べた。その中心に位置しているのは、言うまでもなくイギリスである。2007年のEUからアメリカへの投資約1兆ドルのうち、約6000億ドルがイギリスからのものだ。日本からは約680億ドルだから、その10倍近い規模の資金がイギリスから流入していることになる(この他、ルクセンブルクから800億ドル、ドイツ、フランス、オランダのそれぞれから500億ドル程度の流入)。

ただし、イギリスは自国に蓄積した富を投資しているのではない(実際、イギリスの経常収支は赤字である)。海外から投資を受け、それを投資している。つまり、金融仲介を行なっているのだ。

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アメリカの経常赤字というモンスターはまだ生きている

2008年のアメリカ映画「クローバーフィールド」では、巨大なモンスターがマンハッタンの街を破壊する。現実の世界で、これと同じことが起きてしまった。『Voice』誌に寄稿した論文で、私は「アメリカの国内では、次々にかたちを変えた金融危機が顕在化するだろう。そしてそのたびに、日本の株価が下落するだろう」と書いたが、雑誌が刊行されて数日後に、それが現実化してしまった。

9月15日のリーマン・ブラザーズ破綻とメリルリンチの身売りに続いて、保険会社AIGが存立の危機に立たされ、連邦政府の緊急措置で危うく破綻を免れたものの、事実上の政府管理下に置かれた。3月のベア・スターンズ救済からわずか半年のあいだに、アメリカの第3、4、5位の証券会社と第1位の保険会社が様変わりしてしまった。モンスターがマンハッタンの高層ビルを次々になぎ倒してゆくさまとそっくりだ。この1週間、世界の人びとは、これまで盤石だと思っていた大地に突然底なしの穴が開き、そこに漆黒の虚空がのぞくのを見て恐怖に凍りついた。

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