石油危機での英国の二の舞いを演じるな

世界の金融情勢が、再び大きく動こうとしている。

ECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁は、利上げに向けて強いメッセージを再三発している。ポールソン米財務長官は、「強いドルのためにドル買い介入も辞さない」と表明した(「強いドル」とは、金融引き締めを意味する)。これらの背景にあるのは、インフレに対する強い懸念だ。

世界の金融当局は、金融政策を今後どのように転換するか、あるいは転換しないのか。そして、それは経済活動にどのような影響を与えるのか。これらについては、近い将来に関してさえ、大きな不確実性がある。したがって、今確定的なことを述べるのは、かなりのリスクを伴う。しかし、きわめて重要なテーマなので、スペキュレーションも加えて考えてみよう。

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食料問題の本質は量不足でなく高価格

食料価格の上昇に直面して、多くの人は、「自給率の引上げが必要」と考えている。「自分で作らなければ、食べられなくなる」という不安があるからだ。いくつかの国が穀物輸出禁止に踏み切ったことも、その不安を高めている。また、食料が投機の対象になり、マネーゲームで価格が際限もなく上昇すると恐れている人もいる。

しかし、こうした不安は、合理的な根拠がないものである。これらは、食料の生産に関する経済メカニズムを無視した考えだ。特に重要なのは、食料の多くは保存できるにしてもコストがかかり、品質が劣化するという事実である。これは、金や石油とは大きく異なる性質だ。

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食料問題の解は自給率向上ではない

穀物類が顕著に値上がりしている。小麦は2007年3月には1トン200ドル程度だったが、08年3月には480ドルになった。トウモロコシは、この間に1.4倍値上がりした。

その原因として、投機マネーの影響が指摘される。これまでサブプライムローン関連金融商品などに投資されていた投機資金が、原油などのエネルギー資源や食料に向かっているというものだ。そうした動きがあるのは事実だ。しかし、マネーゲームが問題の本質ではない。

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食料価格高騰対策はコメの輸入拡大

食料価格の高騰が顕著だ。それを背景にして、「日本の食料自給率を高めなければならない」という意見が力をつけている。この考えは間違いであることを以下に述べたい。問題の性質は、作物によってかなり異なる。まずコメについてみよう(他の作物については、次回に論じる)。

コメの価格高騰は、他の作物より顕著だ。コメの国際価格は、2007年末まで1トン320ドル程度だったが、08年5月には1000ドルを突破した。

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