「ふるさと納税」が招くモラルの低下

「ふるさと納税」の概要が決まった。寄付税制を活用し、自治体に寄付すると寄付額が税額控除される。2008年度税制改正での実現が目的とされている。

「ふるさと納税」は、財政の基本原則を侵す重大な問題を含んでいる。まず、地方税における受益原則との関係がある。これについてはかつてこの欄で論じた。今回示されたように寄付税制で税額控除が認められると、寄付税制の観点からも重大な問題が発生する。以下では、これについて論じることとしよう。

まず、寄付税制における所得控除と税額控除の違いについて説明しよう。寄付税制は、これまで所得税と法人税において設けられていた。そこでは、寄付は所得控除(または損金算入)されることとなっていた。

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「バラまき政策」で経済は活性化しない

先の参議院選挙で、民主党は「古い自民党の手法」を踏襲して、農村に補助金を約束した。その結果、1人区では、民主党が圧勝して自民党が惨敗した。過疎地域では、「公共事業を誘致して地域活性化を」と訴えた候補者に票が集まった。日本国民は、バラまき政策を選択したことになる。

先日公表された都道府県地価調査では、東京、大阪、名古屋の商業地が上昇した半面で、地方都市商業地の下落は続いている。地価下落が激しい地点と参議院選挙の1人区とは、見事に一致している。「格差」のかなりの部分が地域格差であることは、間違いない事実だ。以上のような状況の下で、「地方に財政資金をバラまけ」という声は、今後ますます強まるだろう。

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必然性が見えない年金の税方式移行

年金を税で賄う方式が脚光を浴びている。日本経済団体連合会の御手洗富士夫会長が、基礎年金の全額を税で賄う「全額税方式」の導入に、前向きな姿勢を明らかにした。福田康夫総理大臣も、自民党総裁選挙の議論のなかで、この考えに柔軟な姿勢を示した。

民主党は先の参議院選挙のマニフェストで全額税方式の年金改革を提言しているので、福田総理や御手洗会長の発言は、民主党との政策協議の誘い水にしようとする意図があるのではないかと言われている。

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新内閣が早急に対処すべき2つの課題

この原稿が雑誌に掲載された時点では発足しているはずの新内閣が早急に対処すべき税・財政上の課題として、次の2つがある。

第1は、基礎年金の財源手当てだ。2004年の通常国会で成立した年金改革関連法によって、基礎年金の国庫負担率を従来の3分の1から2分の1に引き上げることが決められている。必要な財源は約2.5兆円で、仮に消費税の税率引き上げによって対処するのであれば、1%程度の税率引き上げが必要になる。

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