サブプライム問題で露呈した日本の問題

円高が進行し、株価の下落が続いている。円高で輸出企業の売上が減少し、収益が悪化すると見られているからだ。

これは日本の製造業が、価格を主たる競争力とする状態から抜け出していないことを示している。つまり、ここ数年の日本企業の利益増加と景気回復は円安によるものであったことが、あらためてあからさまにされたことになる。

続きを読む

今回の日本の株安は低金利政策のツケ

サブプライムローン問題の影響で日本の株価が下落したのは、前回述べたように、サブプライムローンを組み込んだファンドが日本にあって、それが値下がりしたためではない。そうではなく、欧米金利の低下によって円キャリートレイドの巻き戻しが生じて急激な円高になり、それが輸出産業の収益に悪影響を及ぼすと考えられたためだ。

この背景には、日本の異常な低金利と輸出産業中心の経済構造がある。つまり、今回の騒動は、古い産業構造を維持しつつ、異常な低金利政策を継続したことのツケである。新しいタイプのリスクが日本にも登場したために起こった問題ではない。円高と輸出産業という、きわめて古典的なルートを通じる株価下落だ。

続きを読む

金融政策の歪みをさらけ出した株安

日本銀行は、8月の金融政策決定会合で利上げを見送った。サブプライムローン問題で金融資本市場が撹乱されているため、と説明されている。

今回生じた世界的株安現象の正確な理解は、今後の金融政策の展開に本質的な意味を持つと思われるので、それについて以下に述べることとしたい。

続きを読む

「比較優位の原則」はさまざまな対象に必要

前回述べた「比較優位の原則」は、外国との貿易に関して直接の意味合いを持っている(リカードがこの理論を考えたのも、「穀物法」による小麦の輸入禁止に反対するためだった)。

たとえば、前回の説明において、「わが家と隣家」を「日本と中国」に、「リンゴとミカン」を「技術的に高度な資本財と大量生産の消費財」にそれぞれ置き換えて解釈すればよい。そう考えれば、日本が資本財に、中国が消費財に特化することにより、互いが利益を得られることがわかる。

続きを読む

経済的理由によって戦争は正当化できない

終戦記念日に黙祷すると、木が1本もなくどこまでも続く焼け野原が、まざまざと思い出される。そして同時に、こうした記憶をこのあとどの世代まで伝えられるかと、不安になる。

戦場体験のある人びとは、すでに大部分が没している。われわれの世代は、空襲や焦土の記憶を持つのみだが、それもやがては去ってゆく。戦争の記憶が日本の社会から薄れてゆくのは、避けがたいことだ。

続きを読む