厚生労働省は、新しい将来推計人口に基づく厚生年金の給付水準見通しを、今年の2月に示した。「基本ケース」では、将来の年金額の現役世代の収入に対する比率は、51.6%になるとされている。
しかし、この試算の前提には大きな疑問がある。特に問題なのは、賃金上昇率を2.5%、積立金の運用利回りを4.1%としている点だ。4.1%という高い(しかも賃金上昇率を大幅に上回る)利回りを長期的に継続できる可能性はきわめて低い。これは、政府が公約する「所得代替率50%」という結論を導くための非現実的想定としか考えようがない。
したがって、51.6%という見通しは超楽観的なものであり、それが実現する可能性は低い。保険料の引き上げや給付水準の切り下げ(支給開始年齢の引き上げも含む)を、将来再び行なわざるをえなくなる可能性は、きわめて高い。