都知事選での大差と『宇宙戦争』の火星人

東京都知事選挙で、石原慎太郎氏が浅野史郎氏に約110万票の大差をつけて当選したことについて、さまざまな論評がなされた。いわく、知名度に格段の差があった。カリスマ性、実行力、政府に物言う姿勢で浅野氏にはもの足りなさが感じられた。石原氏は選挙中は反省に終始した、等々。

これらの指摘は、いずれも間違いではあるまい。しかし、核心を突くものとは思えない。少なくとも、石原氏が高額海外出張費問題などをあれほど批判されながら、大差で当選できたことに対する納得のゆく説明にはなっていない。

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投機取引をあおる日本の巨額外貨準備

3月7日の財務省発表によると、日本の外貨準備高は、今年の2月末で9000億ドルを超えた。現在の為替レートで換算すると、100兆円を超える。

日本の外貨準備は、3つの問題を抱えている。第一は規模が大きすぎること、第二は運用対象が安全資産に偏りすぎていること、第三はドル建て資産に偏りすぎていることである。

特に問題なのは第三の点だ。なぜなら、これは為替レートの変化について、政府自身が大きな利害関係者になっていることを意味するからである。

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低金利が招いた資産市場の歪み

公示地価が16年ぶりに上昇した。「やっと資産デフレの時代が終わった」という論調が一般的だ。

しかし、こうした考えは、重大な点を見逃している。それは、「金利が低ければ地価が上がるのは当然」ということだ。これについて、仮想例を用いて説明しよう。

ここに、年間1億円の利益を確実に出す商業施設があったとする。この価値はいくらだろうか?

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楽観的な見通しで年金改革が遅れる危険

厚生労働省は、新しい将来推計人口に基づく厚生年金の給付水準見通しを、今年の2月に示した。「基本ケース」では、将来の年金額の現役世代の収入に対する比率は、51.6%になるとされている。

しかし、この試算の前提には大きな疑問がある。特に問題なのは、賃金上昇率を2.5%、積立金の運用利回りを4.1%としている点だ。4.1%という高い(しかも賃金上昇率を大幅に上回る)利回りを長期的に継続できる可能性はきわめて低い。これは、政府が公約する「所得代替率50%」という結論を導くための非現実的想定としか考えようがない。

したがって、51.6%という見通しは超楽観的なものであり、それが実現する可能性は低い。保険料の引き上げや給付水準の切り下げ(支給開始年齢の引き上げも含む)を、将来再び行なわざるをえなくなる可能性は、きわめて高い。

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