リバーダンスが示す世界経済の構造変化

「リバーダンス」と言っても、本誌の読者にはご存じない方が多いだろう。これは、アイルランドの伝統的なダンスをベースにして創作された新しいタイプのダンスショーである。

1994年にダブリンで開かれたユーロヴィジョン・ソング・コンテストで幕間に行なった7分間の初公演が大反響を呼び、その後、独立した1つの作品に成長した。97年にグラミー賞を取り、2003年のスペシャル・オリンピックス夏大会では、オープニングセレモニーで披露された。大げさに言えば、「リバーダンス現象」を引き起こしつつ、世界中に増殖しているわけだ。

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“円安”という補助で製造業は農業化する

日本の農業は、規制と補助漬けになって衰退した。今、日本の製造業が、同じ道をたどろうとしているように見える。

農業の場合、まず輸入規制によって国内生産(特に米作)が保護された。また、農地の売買規制や株式会社の参入規制によって、大規模・高生産性農業に転換する道が閉ざされた。さらに、食糧管理制度を通じて、生産者米価が財政資金で支持され、米作農家の所得が保障された。

これらによって、米作中心の「片手間・兼業・三ちゃん農協」が一般化した。

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世界の変化を無視した「心地よい円安」

傘の値段が、数年前と比べてさえ、大幅に安くなった。デパートなどでは、タダで配っているところもあるようだ。他方で、タクシーの料金は変わっていない。

電車を降りて雨が降っているとき、数年前まではタクシーのほうが安かったので、タクシーに乗った。しかし、今は駅前のコンビニエンスストアまで走っていって、傘を買う。1回だけ使って捨ててしまっても、そのほうが安いからだ。

このように、物価動向の変化は、われわれの行動を変化させている。

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海外から円安批判が起こらない本当の理由

2月の中旬に開かれたG7(先進7カ国財務省・中央銀行総裁会議)において、円安是正の声が上がるのではないかと予測されていた。欧州からは円安懸念が表明されたが、結局、声明で円安問題への直接の言及はされなかった。

現在の実質実効為替レートは、1985年のプラザ合意以来の円安だ。しかし、海外からの円安批判は弱い。80年代と比べると、世界経済の環境が一変したことに、あらためて驚く。

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法人税率を下げるなら外資導入のために

1986年、イギリスのサッチャー政権は、「ビッグバン」と言われた金融の大幅な規制緩和策を実施した。日本もこれをまねて、96年から2001年にかけて、金融規制緩和を行なった。名前もまねして、「日本版ビッグバン」とした。

しかし、今になってみると、日本とイギリスの状況はまるで違うものになっている。イギリスの金融業は活性化し、イギリス経済を長期的繁栄に導く主導役になった。これに対して、日本の金融業は沈滞したままだ。過去に比べれば収益が回復したのは事実とはいえ、収益率の水準は、欧米主要金融機関に比べると、著しく低い。

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