産業構造の改革抜きに経済問題は解決しない

国会論戦における経済問題に関しての対立は、格差是正vs成長ということになりそうだ。これに関して、本稿は次の点を指摘したい。それは、「従来型の産業構造が続く限り、格差是正策によっても、成長促進策によっても、問題は解決できない」ということだ。

さて、代表質問などを聞くと、民主党は、小泉改革による弱者切り捨て、地方切り捨て路線によって、格差が拡大したとしている。「小泉純一郎内閣の6年間に、日本は世界で最も格差のある社会になった」という小沢一郎代表の言葉が、それを代表している。

それから演繹されるのは、低生産性部門保護策の拡充とばらまき福祉の復活だ。これは民主党だけでなく、自民党の大多数の人びとの考えでもある。

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サブプライム損失より深刻な日本の対外資産

サブプライムローン関連金融商品の破綻によって、金融機関に巨額の損失が発生している。損失額は、シティグループで2兆円程度に達する可能性があると言われている。9月のIMFの報告書は、「金融機関の損失は1700億~2000億ドル(18.7兆~22兆円)程度」としている。

ところで、これと同規模の(考えようによってはこれを上回る)損失が、日本で発生しているのだ。それは、ドル安に伴うドル建て資産の減価である。

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アバウト

1995年4月、「超」整理日記が『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)誌に初めて登場しました。以来、大好評のうちに連載は現在も続いています。単行本も、通算13冊を数えます。

\"「超」整理日誌\" \"インターネットは「情報ユートピア」を作るか?―「超」整理日誌\" \"時間旅行の愉しみ―「超」整理日誌\" \"「鏡の国」の経済学者―「超」整理日誌〈4〉\"

\"IT時代の社会のスピード―「超」整理日誌〈5〉\" \"正確に間違う人、漠然と正しい人―「超」整理日誌〈6〉\" \"日本にも夢はあるはず―「超」整理日誌〈7〉\" \"デフレとラブストーリーの経済法則―「超」整理日誌\"

\"「超」整理日誌 \"「超」アメリカ整理日誌\" \"日本経済は本当に復活したのか\" \"\"

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内部統制も重要だが市場からの監視も重要

日興コーディアルグループが連結決算で利益を不正に水増ししていた問題に関して、特別調査委員会の調査結果が公表された。それによると、一連の不正経理は、会社ぐるみの意図的な操作であったという。また、総会屋への不正な利益供与事件で有罪判決を受けた元常務に報酬を渡していた事実も発覚した。

今、世の中では、内部統制の重要性が強調されている。また「貯蓄から投資へ」というスローガンも叫ばれている。そうしたなかで、資本市場の主要な担い手になるべき企業における不正問題は、重大だ。

不正経理といえば、西武鉄道とカネボウの事件が記憶に新しい。10年前には、日本長期信用銀行や山一證券で、含み損の「飛ばし」が発覚した。また、野村證券や第一勧業銀行を舞台とした総会屋への利益供与事件もあった。これらを思い出して、デジャビュ感覚に襲われる。そのときの教訓がなにも生かされておらず、10年前とほとんど同じことが行なわれていたことを知ると、驚くほかはない。

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利上げ見送りで賃金はさらに下降

日本銀行は、先般の政策委員会で利上げを見送った。賃金、消費などの経済指標が弱含みであり、情勢の推移をさらに見ることが必要なためであるという。

この判断は適切でないことを、以下に述べたい。主要な論点は、この判断で経済の構造変化が無視されていることだ。それを考慮すると、利上げ見送りによって賃金下降圧力がさらに強まることを以下に述べる。

さて、経済がさまざまな部門から成り立っていることは言うまでもない。前回(2月3日号)は、家計と企業の利害対立を問題とした。以下では、産業構造を問題とする。

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経済政策をめぐる企業と家計の対立

現在、日本の企業が望んでいる経済政策は、次のように要約できる。

第一に、税制については、法人税の減税によって企業の税負担を軽減する。現在の税率のままでは、最近の業績回復によって法人税負担が増加するからである。

第二に、金融政策については、超緩和政策を継続する。利子支払いが軽減されるし、円安を通じて輸出に有利な条件が形成されるからだ。

第三に、資本輸出については、アジア諸国との自由貿易協定(FTA)を進めて、工場の海外進出に有利な条件を整備する。それによって安価な労働力の利用が可能になるからである。他方で、三角合併の自由化などによる資本輸入に対しては、できるだけ抑制的な環境を維持する。もし資本輸入が増えると、外資による敵対的買収の危機に直面するからだ。

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