現状より逆行した道路特定財源問題

道路特定財源の一般財源化問題が、一応の決着を見た。それによると、①税収全額を道路整備に充てる仕組みを改め、2008年の通常国会において、所要の法改正を行なう、②暫定税率は維持する、③道路歳出を上回る税収は一般財源とする、④必要な道路整備は計画的に進める、などとなっている。

この問題の焦点であった揮発油税の一般財源化については、具体案は何も明記されていない。

これでは、現状から少しも前進したことにならない。「余ったぶんを道路以外に回す」のなら、誰でもできることだ。

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レーガンの税制改革から日本は何を学べるか

安倍晋三内閣が推し進めようとしている税制改革は、法人税減税を主要な内容とするものだ。これは、「レーガン税制改革に学ぶもの」と言われることがある。「レーガン改革は企業の税負担を軽減してアメリカ経済を活性化した」と理解されているためだろう。しかし、この理解は正しくない。

レーガン政権は、数次にわたる税制改革を実施したが、それらの性格はかなり異なるものだった。特に、1981年改革と1986年改革を区別することが必要だ。

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コモディティ型から日本は脱却できるか

IBMがノートパソコンの生産を中国レノボ社に売却したとき、日本IBMのある幹部は、次のように説明してくれた。

「コモディティになった製品を作るのはやめた」

「コモディティ」(commodity)は、もともとは「商品」という意味だが、最近ではもっと限定化された意味で使われることが多い。それは、「生産に格別特殊な技術が必要とされないため、差別化特性がなく、価格が主たる判断基準になる製品」(commonと同系統の言葉であるために、こう使われるのかもしれない。「味付けされていない」という意味で、「バニラ」と呼ぶこともある)。

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企業所得は伸びるが賃金は上がらない

企業の業績が向上し資本の収益率が高まるが、それが賃金に還元されない。

90年代以降の世界で、こうした現象が一般化している。アメリカでは顕著に生じており、「雇用なき景気回復」(jobless recovery)ということがしばらく前から言われている。日本でも類似の現象が起きている。企業所得が顕著に回復している半面で、家計所得は伸びていないのである。

この背後には、世界経済の大きな構造変化がある。第一に、冷戦の終結によって、それまで社会主義経済に閉じ込められていた約30億の労働人口が、資本主義経済の枠内に取り込まれることになった。つまり、労働力が急激かつ大量に増加したわけだ。

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「投資立国」とは言えぬ対外資産の運用実態

財務省が11月13日に発表した2006年度上半期(4~9月)の国際収支統計によると、所得収支黒字額が貿易収支黒字額を上回った。原油価格が落ち着いたので、今後貿易収支の黒字は拡大するだろう。しかし、所得収支の黒字が縮小する事態は考えにくい。したがって、「貿易大国から投資立国へ」という傾向は、定着したと言える。

ところが、こうした大きな構造変化にもかかわらず、日本の対外資産運用の実態は、とても「投資立国」とは言えない段階にある。それは、アメリカが債務国であるにもかかわらず所得収支が黒字であることと比較してみると、明らかだ。これは前々回も述べたことであるが、重要な点なので、背景を詳しく調べてみよう。

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