成長を目指すなら抜本的な年金改革を

安倍晋三内閣が経済面で早急に取り組むべき課題として、前回(10月21日号)、揮発油税収入の一般財源化を挙げた。いま1つの課題は、年金改革である。年金についてなすべきことは多いが、緊急に措置する必要があるのは、国民年金の保険料未納問題だ。

この問題の根底には、基礎年金に関する国民年金と厚生年金の財政調整の仕組みがある。一見して、これは些細で技術的なことに思われるかもしれない。しかし、これを解決しない限り、未納問題は解決しない。

その背景を説明しよう。基礎年金は、国民年金基礎年金勘定から支出される。基礎年金の給付に要する費用は、各年金制度が「基礎年金拠出金」として拠出する。問題は、各制度が負担すべき額の算出方法である。それは、サラリーマンに過大で不公平な負担を強いるかたちになっているのだ。

続きを読む

消費税の議論封印は議会民主主義の否定

安倍晋三内閣は、消費税の税率引き上げを来年の参院選前には実行しないと明言している。税率引き上げを未来永劫に行なわないというのなら1つの立派な政策スタンスだが、「来年夏までは議論も行なわない」とは、きわめて奇妙なことだ。なぜなら、税の問題こそは、最大の政治課題であるはずだからだ。

欧米諸国の歴史を見ても、税に関する事項を君主の専決に任せないために議会が設けられた。また、フランス革命もアメリカ独立戦争も、税の問題が1つの大きなきっかけになって勃発している。

続きを読む

昔はできたことを今できない日本人

半世紀前の1950年に川崎製鉄(現JFEスチール)が千葉に製鉄所を建設すると発表したとき、多くの人が、その計画を無謀で常識はずれのものと考えた。

第1に、当時の日本の製造業は、繊維や雑貨などの軽工業が中心であり、大規模な新鋭製鉄所を作っても稼働率は確保できないと考えられていた。この計画に反対した日本銀行の一萬田尚登総裁が「製鉄所にペンペン草を生やしてみせる」と言ったのは、ごく普通の反応だったのである。

続きを読む

英語力が国力を決める時代

アメリカの検索サービス提供会社グーグルが、新聞記事の検索サービスを開始した。過去200年以上の期間にわたって、欧米主要紙の記事が検索できる。これは「驚異」としか言いようのないサービスだ。

オンラインの新聞記事検索サービスは、これまでもあった。私も「パソコン通信」と言われていた時代に、かなり利用していた。これによって資料探しがずいぶん楽になったと思ったのだが、検索できる対象期間はせいぜい10年くらいだったと思う。しかも、かなり高価なサービスであった。このため、インターネットから無料の情報がいくらでも入手できるようになってからは、使わなくなってしまった。

しかし、「200年間」となれば、話は別だ。これほど古い新聞記事は、これまでは大きな大学の図書館に出向かないと見られなかった。しかも、閲覧手続きはそれほど簡単ではない。それに、そもそもどの日付の新聞を見ればよいかがわからない。だから、古い新聞記事は、事実上利用不可能な情報だった。

続きを読む