ITは世界を変えたが日本を変えていない

地方都市に行くと、どこでも同じ風景に出くわす。空港を出ると、よく整備された道路が走っている。道路沿いには、さまざまな店舗が出店している。ところどころにショッピングセンターもある。ところが、市街地に入ると、急に活気がなくなる。駅前商店街は、「シャッター通り」そのものだ。人通りも少ない。

その地方の方々と話すと、次のような答えが返ってくる。

「この10年間、公共事業が増えて潤った。ところが、ここ2~3年、それが減って苦しい状態が続いている。国からの財政資金をもっと増やしてもらわないと、どうしようもない。駅前商店街の惨状を救うには、大型店の規制がどうしても必要だ。格差、格差と言うが、最も深刻な格差は、東京と地方のあいだにある。東京が発展する一方で、地方は衰退するばかり。どうか力を貸してほしい」

じつは、この半年のあいだに、まったく同じ意見を、まったく別のところで聞いたので、やや驚いている。

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「改革フィーバー」の正体は何だったのか

「改革!」という叫び声が至るところに溢れ、日本中が「改革フィーバー」に包まれた総選挙から1年がたった。新しい政権が誕生しようとする今、昨年の総選挙の結果を再点検することは不可欠の作業だ。

あの「改革フィーバー」の正体は、はたして何だったのか。それは、宣伝されたとおりの改革効果をもたらしたのか?

総選挙の唯一の争点は、郵政事業の民営化であった。小泉純一郎首相が主張したのは、これが改革の最も重要なポイントになるということであった。

それは、資金の流れを官から民へと変えることによって、日本経済を活性化するとされた。

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不動産購入の理由は政府への不信

2006年の路線価では、標準宅地の平均値が東京、大阪、名古屋の3大都市圏で上昇に転じ、東京圏では前年比3.5%の上昇となった。3月に発表された公示地価でも、東京都では全用途で15年ぶりの上昇となり、商業地では3大都市圏がいずれも15年ぶりの上昇となった。

マンションの売行きにも変化が見られる。首都圏では平均分譲価格が上昇している。近畿圏は売れ行きが好調で、東京都心部では超高層分譲マンションの販売が好調だ。昨年夏ごろからマンション用地取得競争が激化し、その物件が発売の時期を迎えるため、今秋から発売の物件は値上りするだろうとの観測もある。

なぜこうした傾向が生じるのだろうか。私はたいへん気になる。都市部の地価が上昇に転じているのは景気回復の反映であり、マンション購入動向が変化しているのは、住宅ローン金利の先高感があるから、というのが一般的な説明だろう。

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TOBの増加でも続く日本企業の閉鎖性

日本企業の閉鎖性を確かめるのは簡単だ。日常的にいくらでも実例を観察できる機会がある。私の経験を2つ述べよう。

ホテルのエレベーターで、いつになっても扉が閉まらないので不思議に思っていたところ、誰かの到着を待って「開く」ボタンを押し続けている男がいる。暫くすると、会社の社長らしき人が数人の男たちに囲まれて悠々と到着した。ボタン男は、うやうやしく頭を下げ、やっとのことで扉が閉まった。

新幹線で予約したはずの座席に、見知らぬ男が座っている。「そこは私の席ですが……」とおずおず申し出たところ、その男は立ちあがって、「実は、隣に社長がいる。この席を予約したかったのだが、取れなくて別の席になった。そちらに移っていただけないか」と言う。

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