GDP伸びは連続低下一時しのぎは終わった

GDP速報によれば、2013年10~12月期の実質GDP成長率は1.0%となった(季節調整済み年率、以下同様)。7~9月期の1.1%から0.1ポイントの低下だ。1~3月期が4.8%、4~6月期が3.9%だったから、安倍内閣が発足し、異次元金融緩和が導入されて以降、成長率が低下し続けていることになる。

10~12月期には、消費税増税前の駆け込み需要が成長率を高めると考えられていた。外需が伸び悩んでいることから見通しが引き下げられてきたが、それでも2%程度になると考えられていた。実際の値は、それをも裏切るものとなった。

需要項目別で見ると、公的固定資本形成(公共投資)と民間住宅(住宅投資)が高い伸びを示し、成長を支えていることがわかる。この構造は13年最初からずっと変わらない。

ただし、公共投資の伸び率は、これまでよりは低下した。補正予算の執行が山を越したためだろう。後で述べるように、14年に向けて、公共投資は減る。住宅投資も駆け込み需要なので、今後は減少する。つまり、現在の日本経済は、将来減ることが明らかな一時的需要に支えられている。

民間最終消費支出は、消費税増税前の駆け込み需要で、名目でも実質でも、7~9月期より伸び率が高まつた。ただし、予想されていたほどは高まらなかった。GDPの伸び率が予想を下回ったのは、このためだ。なお、名目の伸びが、実質の伸びよりかなり高くなっている。これは、物価上昇率が高まったからだ。

外需が伸びないのは、今回の速報の大きな特徴である。輸入の伸びが主因だが、輸出が対前期比隻手1.7%増でしかないことが影響している。円安下で実質輸出が伸びないのは、現地通貨建て輸出価格が目立って低下していないからである。つまり、輸出企業は、現地価格を下げて輸出数量を伸ばす戦略を取っていない。このため、円建て輸出額がほぼ円安率に比例して増加し、輸出企業の利益を増加させ、株価が上昇している。円安が株価を押し上げるだけで、輸出量、生産量、賃金などの実体経済指標に影響が及んでいないのは、こうしたメカニズムによる。

実質民間企業設備(設備投資)は、5.3%と高い伸び率を示した。ただし、水準は依然として低い。産業別の内訳は法人企業統計が出ないとわからないが、機械受注(船舶・電力を除く民需、季節調整値)が12月に前月比15.7%減と、過去最大の下落幅を記録したことを見ると、今後すべての産業で設備投資が増えるとは思えない。少なくとも製造業全体では、停滞が続くだろう。

「経済の好循環」は始まっているのか?

13年を全体として見ると、実質成長率は1.6%となった。12年の1.4%よりは高くなったが、あまり大きな違いではない。この数字が示すのは、異次元金融緩和も含め、安倍内閣の経済政策が経済成長率を高めていないという事実だ。

政府・日本銀行は、「経済の好循環」が始まっていると言う。本当にそうなっているかどうかは、どの需要項目が伸びているかを見れば、判断できる。

好循環が始まっているのであれば、民間消費や設備投資が増えていなければならない。特に、設備投資は、GDP成長率をかなり上回る率で増加しなければならない。

ところが、年ベースの数字で見れば、そうなっていない。設備投資の伸び率は、11年の4.1%、12年の3.7%から、13年には▲1.4%と大きく低下した。これは、好循環が始まっていないことの何よりの証拠だ。円安によって企業の利益は増加したが、それは、前述のように、円建ての輸出額が上昇したことによるものだ。経済全体の所得が高まったために売り上げが増加し、生産が増加して利益が増加したためではない。したがって、企業は、生産力増強のための設備投資を行わない。

民間最終消費支出の伸び率は、12年に比べてほぼ不変にとどまっている。しかし、四半期別に見ると、13年1~3月期の4.2%から10~12月期の2.0%に低下している。これは、物価上昇によって、実質消費の伸びが抑えられてきたからだ。「デフレ脱却」は実質消費の成長率を押し下げているのである。

中期的に見ても、13年の経済パフォーマンスはよくない。13年の実質成長率1.6%は、10年の4.7%にはるかに及ばない。10年は円高期であったし、デフレ期でもあった(国内需要デフレーターの伸びは▲1.4%)。円安や物価上昇は、実質成長率を高めないことが、これからもわかる。

4~6月期の落ち込みを補正予算で防げるか?

日本経済の成長率は、今後、1~3月期に駆け込み需要で高まった後、4~6月期に反動で落ち込むと考えられている。景気ウォッチャー調査での先行きも、悪化している。

まず、住宅投資が落ち込む。13年の実質住宅投資は約14.5兆円だが、これは09~い11年の平均値12.7兆円に比べると1.8兆円多ほど落ち込むわけだ。これは、13年の住宅投資の12.4%に当たる。先食い効果を考えれば、需要はさらに落ち込むだろう。政府経済見通しでは、14年度の実質住宅投資の伸び率を▲3.2%と見積もっているが、この程度で済むかは疑問だ。

実質公共投資は、13年は22.7兆円だが、これは09~12年の平均値20.8兆円より1.9兆円多い。政府経済見通しでは、14年度の実質公共投資の伸び率は▲2.3%だ。これは、14年度の実質公共投資が13年度から5200億円ほど減少することを意味する。したがって、(暦年と年度の差を無視して)住宅投資と合わせれば、需要減は約2.3兆円になる。

これに加え、消費の伸びが落ち込む。政府経済見通しでは、実質伸び率が13年度の2.5%から、14年度には0.4%になる。これは、消費税増税の影響だ。また、前述のように消費者物価の上昇は、実質消費の伸び率を抑制する。

以上のような経済の落ち込みを抑えるために、総額5.5兆円の補正予算が編成された。政府は、これが実質GDPをおおむね1%程度押し上げるとしている(「好循環実現のための経済対策」13年12月)。本当にこれだけの効果が期待できるだろうか?

まず注意すべきは、今回の補正では、新規国債の発行を行っていないことだ。したがって、「均衡予算定理」が示すように、財政支出と同額の需要増大効果しかない(乗数が1である)はずである。仮に5.5兆円のすべてが有効需要であったとしても、GDP押し上げ効果は1%程度しかない。実際の内容を見ると、新規有効需要の創出となっているのは、全体の一部でしかない。公共事業は、全体の半分以下と考えられる。そうであれば、GDP押し上げ効果は0.5%程度ということになるだろう。

今後、補正予算等で公共事業を増やしたとしても、一時しのぎを続けるだけであって本当の成長ではない。

ましてや、効果のない金融政策の追加は論外だ。「金融緩和」という偽薬で期待を膨らませ、ごまかし続けられる時期は終わった。短期的変動にとらわれず、長期的な成長の基礎をつくることが必要だ。

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